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お知らせ

お知らせ

5月10日(火)と5月27日(金)に部落問題に関する講演会が関西大学で行われます。
講師は、5月10日が位田浩弁護士(大阪弁護士会)、5月27日が吉田徳夫(関西大学教授)です。位田浩弁護士、吉田徳夫教授は、同和住宅家賃値上げ反対運動を支える会の顧問をされております。多くの皆様のご参加をお願いいたします。 

 

日時           5月10日(火) 13:00〜14:30
講師     位田 浩 弁護士(大阪弁護士会)

講演テーマ 同和向け公営住宅の家賃制度をめぐる裁判から見た差別と人権

場所     関西大学千里山キャンパス 第1学舎 千里ホールB
        (阪急電鉄千里線「北千里」行で「関大前」駅下車)

              アクセス http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/access.html
              
              地図   http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/mapsenri.html
           

主催 関西大学 (人権を考える 2011年度春季人権啓発行事)

       詳細は ↓ をクリックしてください
                         

          http://www.kansai-u.ac.jp/mt/archives/pdf/110414_n_humanright.pdf




日時   5月27日(金) 13:00〜14:30
講師       
吉田 徳夫 教授(関西大学 法学部教授)

講演テーマ   
今、部落問題とは何だったのか

場所       関西大学千里山キャンパス 尚文館 マルチメディアAV大教室
            (阪急電鉄千里線「北千里」行で「関大前」駅下車)        

          アクセス http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/access.html
              
            地図   
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/mapsenri.html

主催         関西大学人権問題研究室 (第65回 公開講座)

                 詳細は ↓ をクリックしてください
        
                  http://www.kansai-u.ac.jp/mt/archives/pdf/110502_n_lecture.pdf














第2回定例学習会のご案内


3月11日の東日本大震災で亡くなられた方に心より弔意を表します。また被災された方々にお見舞いを申し上げます。「支える会」といたしましても、今後、可能なかぎり、被災者の生活、復興にむけた支援にとりくんでいきたいと思っております。被災された方々が復興にむけてご活躍されることを祈念いたします。

 
同和住宅家賃値上げ反対運動を支える会 第2回 定例学習会のご案内 
 
日時  2011年5月8日(日) 午後 1時〜

場所  西宮市 若竹会館

     ※行き方、地図などは下記をクリックください
     http://www.nishi.or.jp/contents/00002271000400010.html 
  

 
 昨年行われました「支える会」の第1回定例学習会は、講師の水月昭道先生はじめ皆様のご協力をもちまして成功裏に終わらせることができました。
 5月8日(日)午後1時より、第2回定例学習会を下記の内容で行います。講演の後、質疑応答や討論行い中身を深めていきたいと思っています。多くの皆様のご参加をお願いします。
 


テーマ  同和住宅からの明け渡しを国際法はどう見るか
                    ―同住連・西宮明け渡し裁判を考える
講師 家 正治先生
 
家会長(ブログ 学習会用) 
神戸市外国語大学名誉教授 姫路獨協大学名誉教授 
                    同和住宅家賃値上げ反対運動を支える会会長)

講師のプロフィール   
 2004年に同和住宅家賃値上げ反対全国連絡協議会のとりくむ裁判で、争われている全ての裁判所に対して「居住権と国際法規」と題した意見書を提出。今回、西宮で争われている住宅明け渡し裁判でも陳述書を提出し、同和住宅家賃裁判を住民とともに担って下さっている。
 国際法の世界的権威。2007年には「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」で判事をつとめた。当会の会長のほか、地球市民の会の日本支部代表、日本国際法律家協会の副会長などとしても活躍。『講義国際法入門』2001年嵯峨野書院、『人権を考える』1987年(株)潮出版社など著書多数。




テーマ 橋下知事の公営住宅半減構想を批判する
            ― 橋下知事の大阪都構想で暮らしはどうなる?

講師 戸田ひさよし前門真市議会議員



戸田前議員(ブログ 学習会用) (全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部顧問
                  同和住宅家賃値上げ反対運動を支える会呼びかけ人)

講師プロフィール   
 1999年に門真市議選で初当選。以来「鮮烈市民派」として数々の活動を行い、2003年、2007年に市議選で連続トップ当選。昨年、連帯労組弾圧で、権力・裁判所によって議席を奪われたが、公民権停止があけた今年4月市議選で3千票を目指して奮闘中。
  現在、橋下知事による「大阪都構想」をストップさせるため精力的にとりくんでいる。2008年9月、橋下知事が「学力テスト結果公表」問題をめぐり教育委員会などに暴言を発した時には、市議会でとりあげ警鐘を乱打した。今回の橋下による公営住宅半減構想に対しても反対署名などを行っている。


「支える会」第3回総会報告(1)

全体(ブログ用)  (2010年10月17日 若竹会館で行われた総会 大橋浩治役員の報告を熱心に聞き入る参加者)
 
  昨年(2010年)、10月17日、西宮市芦原地区で「支える会」第3回総会が60名の参加で行われました。
 総会はは家正治会長のあいさつではじまりました。


 家会長(ブログ用)       戸田前議員(ブログ用)   三浦議員(ブログ用)   木邨さん(ブログ用)
 
(写真は左から 「支える会」会長・家正治先生 戸田ひさよし前門真市議 三浦たけお守口市議 部落解放同盟全国連局長・木邨秀幸さん)


 家正治会長は「3点について申し上げたい。第一点は、人間の尊厳を確立していくためにはベーシック・ヒューマン・ニーズ(Basic Human Needs)のひとつである住宅問題について明確なかたちで運動をすすめていかなければならない。この会のとりくみを続けていくためにご支援、ご指導をたまわりたい。第二点は連帯に関すること。運動の展開するなかで、多くの人たちとの連帯、例えば公営住宅に住んでいる住民の方や、在日朝鮮人の方たちとも連帯していくことが大切だと思う。昨年度は朝鮮民族学校、高等学校の授業料無償化の問題について声明をだしたが、今後とも幅広く連帯していきたい。さらに、研究の面での活動も発展させていく必要がある。昨年から開始した定例学習会を発展させたい。その意味でも多面的な運動を発展させていきたい。今後ともご支援ご鞭撻を」と訴えられました。
 来賓のあいさつにたった戸田ひさよし前門真市議は「私は国家権力、最高裁判所によって議員でなくされた。2011年3月で公民権停止があける。ふたたびたたかいにいどむ決意だ。橋下知事は公営住宅を半分にすると言っている。私たちは、日本の公営住宅はすくなすぎる、増やさなくてはならないと言っているのに、驚くべきことだ。同和住宅のとりくみをやってきた人たちがエンジンであり導き手。こうした動きに対して、この会がどんどん啓発していこう。」と、三浦たけお守口市議は「居住福祉ということが、これからの高齢化社会で重要な問題であると思い、議会でもこだわり続けている。不条理な政治の流れに抗してたたかう議員をつくっていきたい。」と、そして部落解放同盟全国連合会の木邨秀幸さんは「住宅家賃値上げ反対のたたかいは絶対に負けられない。差別行政を許さずたたかっていきたい」と元気いっぱいのエールを送って下さいました。
 続いて「支える会」からの活動報告。同住連からの現状報告の受け、「支える会」の今後のとりくみが提案されました。 



 東口さん(ブログ用)    李さん(ブログ用)     千田さん(ブログ用)
(写真は左から、芦原地区自治会連合会会長・東口博さん、広島の福島・都・小河内地区住宅家賃値に会会長・李金異さん、千里桃山台裁判をとりくむ千田靖子さん)



 第二部は、「支える会」幹事の田代菊雄先生から1時間半にわたる特別報告。アファーマティブアクションと住宅闘争についてわかりやすく話して下さった田代先生の講演に対し、会場から次々と質問が出され、熱気あふれる討論が行われました。
 明け渡し裁判をとりくむ同住連・芦原地区の東口博自治会連合会長会長は「住民に明け渡しを求めるなどもってのほか。西宮市の差別を許さず最後までたたかう」と熱く訴えました。
 広島で同和住宅明け渡し判決とたたかい、この日、総会に駆けつけてくださった広島市の福島・都・小河内地区住宅家賃値上げに反対する住民の会の会長、李金異さんが芦原地区の東口会長の訴えにこたえ、「広島は裁判に負けた。しかし、負けた後の運動の方が大切。恐れることはない。広島のようにたたかおう」と檄をおくりました。
 団地(分譲住宅)の強制的な建て替えに反対し千里桃山台裁判をとりくむ千田靖子さんは「建設業界が不況下で築30年のマンションを建て替えて大もうけをしようと、多数決の暴力で住民を団地から追い出した。私が今争っている相手はとても大きな会社。しかし裁判ではついに、会社の支社長を法廷に引きずり出すまでいった。傍聴に来て下さい。」とすがすがしく、力強く訴えられました。

吉田先生(ブログ用)   森島先生(ブログ用)

(写真は左から 「支える会」顧問・吉田徳夫先生 「支える会」副会長・森島吉美先生)


  「支える会」顧問の吉田徳夫先生が討論をまとめ「行政を相手にした裁判で勝つことはほとんどない。その上で負けてからが勝負。その勝負の時に、住民の力が発揮される。それが解放運動だと思う。住民の団結が一番大切」と静かに、確信をもって訴えました。
 副会長の森島吉美先生が総会全体を締めくくり「討論のなかで『世間知らずだからできた』というのが印象的だった。世間は知らない方がいい。世間はたたかいにブレーキをかけるし、世間が差別を作っている。住宅裁判。この裁判は、おこした側の方がしんどい。結局、市は、なぜ同和住宅があるのかトコトン話し合わなければならなくなってしまった。応能応益をやるというのであれば一軒一軒、地域住民の実情を聞いていかなければならない。市はそこに自分で追い込んでいる。このたたかいは最高におもしろい。これからもよろしく」と熱く訴え、全ての議事を拍手で承認し第3回総会は成功裏のうちに終了しました。


以下、今年度の役員をご紹介いたします。
 
会長   家 正治
     (姫路獨協大学名誉教授
      神戸市外国語大学名誉教授)
副会長  森島 吉美
     (広島修道大学教授)
会計   大橋 浩治
     (奈良市従業員組合委員長)
会計監査 辻岡 豊
     (元意岐部東小学校教頭)
幹事   田代 菊雄
     (ノートルダム清心女子大学名誉教授)      
     早川 和男
     (神戸大学名誉教授)
顧問
    足立 修一(弁護士・広島)
    位田 浩 (弁護士・大阪)
    荻原 研二(弁護士・奈良)
    中村 益行(熊本県 山都町町議)
    永嶋 靖久(弁護士・大阪)
    吉田 徳夫(関西大学教授)
    梁  英哲(弁護士・大阪)

※ ブログの更新ができず申しわけありません。今後はきちんと更新していきますのでご容赦ください。
  


「支える会」第2回総会の報告(3)

早川和男先生 記念講演 contents

1.スター建築家になることよりも「どうしたら住民の住居をよくすることができるのか」に強い関心を −大学の建築学科で

2.『住宅貧乏物語』の誕生まで

3.海外の居住運動を調査 −『人は住むためにいかに闘ってきたか』

4.住居は人権−日本住宅会議の設立

5.居住の権利−居住政策の策定に参加すること


 上記の1、2を前半部に、3、4、5を後半部とし、前半部は前回の『第2回総会報告(2)』でご報告しております。

 


早川和男先生の記念講演  (後半)

  −なぜ私は居住の権利にこだわるのか

  DSC_早川先生3    

3.海外の居住運動を調査   

  −『人は住むためにいかに闘ってきたか』

 神戸大学に移ってから、海外に出かけることになりました。文部省で1年間の留学制度があり、神戸大学は毎年、1年間に5人の割り当てがありました。その留学制度の年齢制限は48才。ちょうど、そのとき私は48才でした。私は工学部で、その年の工学部はの割り当ては6番目でした。出してもダメですからだれも申請をしませんでした。しかし私は、6番目だと知っていたのですが申請をしました。48才で、今出さないとダメですのでね。そうしたらその年だけ割り当てが6人になっていたのです。翌年からまた5人になるのですが。これはなんだろうと、詮索好きの先生がだいぶ調べたが、結局、よくわからなかったようです。私は後で「住居の女神がおりてきた」と言っていますが・・・。
 住宅のことを調べる人は、海外留学をする場合、一つの大学とか、研究所でずっと勉強するのですが、私はそうではなくて、次のように考えました。
 確かにヨーロッパの家は広く町並みも美しい。それをつくっていった政策や制度そのものはいろんな研究者がいますからまかせておいて、私は、どういう経過をたどってそうなっていったのかというところに焦点をあわせ、各地を訪ね、さまざまな人たちに会いました。
 スェーデンに行った時には、建設労働組合の委員長に会いました。彼は次のように言われました。「私たちは家をつくるのが仕事です。みんな、いい家をつくりたいと思っている。しかしいい家をつくれるかどうかは政府の政策に関係あります。だから政策を監視したり注文をつけたり要求したりしています。」

〔世界で最初に公営住宅をつくったイギリスのたたかい〕 

  イギリスは世界で最初に公営住宅をつくり、住宅先進国と言われてきました。それは簡単にできたのではないのです
 20世紀の初頭はイギリスでも9割が民間借家でした。家主がドンドン勝手に家賃を値上げをし、払えない者を追い出したりしました。それでグラスゴー−イギリスの北の方ですが、そこで家賃値上げ反対闘争というのがおこりました。これがすさまじい。中心になるのは女性と若者ですが、家賃不払いをしました。そしてそれを労働組合が「住民の意見を聞かなければストライキにはいる」と応援しました。当時は戦争中ですから、戦争中に労働組合にストライキにはいると国はお手上げですよ。そうして、1919年に世界で初めて公営住宅法という法律ができました。そのとき、ある議員が演説しています。英国独立労働党の市会議員の選挙で「貧困には普遍的に劣悪な住宅がつきまとっています。住宅の貧困という根本の問題をおきざりにして単に場当たり的に対策をいじくりまわすのはくだらない空虚なことです。人々を破滅の方向に導く住居の貧困というあふれんばかりの川の流れは彼らを致命的な方向に運び続けることでしょう。たとえあちこちで貧困の小川をせきとめたところでそれが何になりましょう。」と。とにかく住居が大事だということをグラスゴーの人たちは大声で叫ぶのです。そのグラスゴーの運動が中心になって、英国住宅政策が展開していきました。
 そうしたイギリスの伝統をうけついでシェルターという運動団体ができました。シェルターというのは、例えば原爆シェルターと同じです。とにかく屋根を保障しないといけないというので、さまざまな活動をしています。全国組織ですから全国に事務所があり、そこへ行くと助けてくれる、住宅駆け込み寺です。そこでは、貧しい住宅が子どもに与える影響の調査、国や自治体への働きかけなどさまざまな活動をやっています。

〔燎原の火のようにひろがったヨーロッパの住宅占拠運動〕

  1970年代から80年代にかけてヨーロッパでは住宅占拠運動というのが燎原の火のように広がっていきました。住宅占拠運動というのは、公共住宅、公団住宅や公営住宅の空き家、民間のマンションの空き家に、だまってカギをあけて入りこんで住んでしまうのです。ヨーロッパでは、いったん、そういうところにはいりこむと、政府が何かかわりの家を提供しないと強制的に追い出せないという慣習法が、19世紀からあり、事実、何百件の人が住んでいます。空き家あっせん所みたいな事務所もあります。

〔100万人の会員を有するドイツ借家人同盟〕

  ドイツ借家人同盟というのがあり、100万人の会員がいます。当時のドイツの人口は4000万人くらい、そのうち100万人がドイツ借家人同盟に入っているのです。年会費は1万円ですが、追い出される、家主とのトラブルが起こった−家主といっても自治体もいるし国もいるわけですが−など、何か住居にこまった時に借家人同盟にかけこむと、専属の弁護士が何十人といまして、助けてくれのです。そこの会長も、家先生のような法律の教授でした。

〔『爆弾よりも住宅を』ワシントンで25万人の大デモ〕 

  アメリカの運動もはまたすさまじい。前のブッシュ政権が住宅政策をものすごくカットしました。それでロスで大暴動がおこり、その後住宅不安が広がっていきました。そして1989年10月7日、大住宅デモがワシントンでおこりました。テーマは「爆弾よりも住宅を」です。新聞を見ると「ワシントンには全米各地から25万人集まりデモ行進をした。最大のスローガンは『爆弾よりも住宅を』だった」と。どういう人が集まったのかというと米国労働総同盟、産別会議、全米市長会、全米教育協会、合衆国平和評議会、合衆国YWCA、合衆国YMCA、全米ソーシャルワーカー協会、アメリカ子ども福祉連名、オハイオ州知事など。いろんな団体がよって25万人の大デモをやったのです。すごいですね。

 上記したように、世界各地をまわって調べ歩き、そのことをまとめたのが『人は住むためにいかに闘ってきたか』の本です。

4.住居は人権−日本住宅会議の設立 


 日本に帰ってき、海外調査の報告をしていきますと、「住居は人権だ」というスローガンをかかげて日本住宅会議をつくろうということになり、私は事務局長になりました。代表委員には東大総長をやられていた大河内一男先生はじめ、都留重人、小林直樹、西山卯三などいろんな人がなってくださいました。1982年11月3日に600人ほどが集まり東京の教育会館で設立総会を開き、半年ほどの間に1800人が会員になりました。当時から日本人は、住宅をなんとかしないといけないと真剣に考えていたのですね
 1982年の設立総会の時に大会宣言をだしました。今回出した本にも紹介してありますが、宣言の最後に、次の3つに意見をまとめています。 

一、我われは人間らしい生活を求める権利を有する。住居はその基本的要件であることを、    

   ここにあらためて確認する。  

二、住宅政策の基本理念は、国民のゆたかで幸せな生活を求める権利に立脚するものであ

   る。

三、これらのことを実現するには、国民の広範な叡智と行動の結集を必要とする。これを実

      現するために、息長く、広く国民のみなさまによびかけてゆきたい。

  これは、さきほどからみなさんが議論されていることとそっくりで感心していたのですが。 

 日本住宅会議は住宅憲章というのをつくったりもしました。これも、今度の本に全文紹介してあります。

5.居住の権利−居住政策の策定に参加すること

 そのうちに、岩波新書から『住宅貧乏物語』に超をつけて『超住宅貧乏物語』を書いてくれと、注文がきました。私は、もう結構ですと言いました。それよりも、『住宅貧乏物語』が診断書とすると処方箋がいる。処方箋として、いろいろ考え、居住福祉という概念を考えたのです。安心して安全に住むところがなければ子どもから老人まで福祉などなりたたないですから。そうして『居住福祉』という本を書くのですが、これを読んだ先生方で、『居住福祉学会』が2001年に発足しました。私は会長をしていますが、福祉系の先生方、法律とか、弁護士、医者、さまざまな人がはいっています。みなさん、住居が福祉の基本というご意見です。 

居住福祉 

  その後、1997年にトルコのイスタンブールでハビタットが行われ、「居住の権利宣言」が出されました。世界中から、大統領とか首相がくるのですが、日本では国土庁長官がいってお茶をにごしました。居住の権利宣言は、その一番柱になっているのは「住居は基本的人権である」ということ。宣言の中でこういうことも言っています。「居住政策の策定に参加することも居住の権利である。」要するに行政や企業が勝手に家をつくっていたのでは住みやすい家はできない。住宅政策の策定に居住者が参加してはじめて住みやすい家ができる、それも居住の権利であると、そういう宣言をするのです。
 私はこれは非常に貴重だと思っています。阪神大震災で、復興住宅や仮設住宅でドンドン人が、孤独死したり自殺したりしている、山の中に復興住宅や仮設住宅を建ててね。あれを見ていると、復興委員会とか住宅計画委員会にひとりも被災者代表が入っていないのです。みんな役人のOBとか御用学者のようなのがやっていて、被災住民が一人もはいっていないから意見を反映できないわけですよ。
 居住の権利というのは、居住政策の策定に参加すること。すべての居住者へ、国民は、日本の住宅政策、居住政策は、どうあるべきかということまで、立案してもちこみ、要求していかねばならないと思うのです。この会もそういうところにまで発展していけばいいと思っています。要は変革の主体をつくるということです。

 
 最後に一言だけ。今、貧困ビジネスとか派遣切りとか、いろいろ住居の問題がでていまして、ホームレスとかネットカフェとかが報道され、社会的に少しは住宅問題に目がむけられているのですが、日本人、あるいは日本のマスコミの通弊で、ちょっと治まったら、すぐに、ぱっと消えてしまうと思うのです。阪神大震災の時にオウム事件がおこったでしょう。そうしたら、関西では震災を報道していましたが東京ではほとんど報道しなくなりました。報道はオウムばかりでしたね。マスコミもあのようになりますから、今のうちに、基本法ではなく、実定法としての住居法をつくらせなければならないと思うのです。
 先ほど話したように、民主党、社民党もはいって、新しい政権ができたわけですから、チャンスですね。このチャンスをぜひ、みなさんも新しい住居法をつくる運動の先頭にたって、政府に圧力をかけて、みなさん自身の案もつくったりしていただきたいと思っています。 

                                                     以上

【本のご紹介】
早川和男先生が書かれた本
◆『人は住むためにいかに闘ってきたか                            

            欧米住宅物語(新装判)』

 金額 2100円(税込み)   四六判 320頁 発行所 東信堂   

 

  人は住むためにいかに闘ってきたか

 欧米における自然と文化の香りゆたかな街並み、そしてゆとりあるくつろげる住居−それは決して一朝一夕にして生まれたものではない。そこに至るまでには優れた住環境を獲得するためのさまざまな運動、強い意志に貫かれた住民たちの闘いがあったのだ。その基盤をなすのはデモクラシーの精神、すなわち自らが社会の主人公であることを自覚し、良いもの、価値のあるものを得るためには自らがその実現のために働きかけ、抵抗し、努力するという住民の主体的な生き方なのだ。欧米の住宅の今日に至るまでの歴史と運動をつぶさに紹介するとともにわが国における草の根民主主義の欠如に猛省を促す、住宅問題のみならず日本の社会のさまざまなひずみを考える上、ぜひ読んでおきたい本。   

◆近刊 『早川式「居住学」の方法             

         −50年の思索と実践−』   
金額 1785円(税込み)   四六判 240頁(予定) 発行所 三五館 
  あらゆる「貧困」の根底には“住居の貧困”がある!

 −居住学に命を燃やしてきた反骨の研究者、半世紀の軌跡−

  本書は「人間にふさわしい住まい」の実現を追い求め、研究の方法に悪戦苦闘してきた一人の研究者の行動哲学であり軌跡である。   

※ 11月下旬に発刊予定!!

 上記の本は、「支える会」事務局でも取り扱っています。ご希望の方は事務局までご連絡下さい。なお、9月26日の講演の時に、近刊の著書をお申し込みいただいてくださっている方には、特製のしおりをおつけし、上記の『早川式「居住学」の方法−50年の思索と実践− 』の本をお送りさせていただきます。

 

「支える会」第2回総会の報告(2)

 「支える会」の第2回総会では、当会の幹事で、日本居住福祉学会会長もされている早川和男先生の記念講演を行いました。講演要旨を以下ご報告します。

早川和男先生 記念講演 contents

1.スター建築家になることよりも「どうしたら住民の住居をよくすることができるのか」に強い関心を −大学の建築学科で

2.『住宅貧乏物語』の誕生まで

3.海外の居住運動を調査 −『人は住むためにいかに闘ってきたか』

4.住居は人権−日本住宅会議の設立

5.居住の権利−居住政策の策定に参加すること


 上記の1、2を前半部に、3、4、5を後半部とし、後半部は次回の『第2回総会報告(3)』でご報告いたします。

 


早川和男先生の記念講演  (前半)

  −なぜ私は居住の権利にこだわるのか


DSC_早川先生  

 今日は、なぜ私が居住の権利にこだわって研究したり本を書いたりなどをしてきたのか、について話をします。この11月末に新たに本がでますが、その予告編のようなものともいえます。

1.スター建築家になることよりも 

「どうしたら住民の住居をよくすることができるのか」に強い関心を

  −大学の建築学科で

 私は大学を建築学科をでました。建築学科に入る人は、丹下健三、安藤忠雄や黒川紀章などのようなスター建築家を目指す人が多いのですが、私は、そういうことより国民の住居をどうしたらよくすることができるかということにに関心をもちました。
 建築家が個人の住宅を設計する場合は、施主から家族構成や予算、 部屋はいくつくらいいるか? どういう場所に建てるか?などを聞きます。それに対し、「不特定多数の国民の住居を計画し設計する」つまり、国民の住居をよくするという課題をたてたら、発想はまったくちがってきます。住居というのは暮らしの器ですから、住居の本質すなわち、そこで子どもが育ち、家族が暮らし、学校へ通い、年老いたらそこで安息し、労働の憩いの場とする、そうしたものが日本はどうなっているのかということに関心をもたざるをえなくなる。
 そうすると当然、政府の住宅政策とか都市政策とか土地政策とか、もっというと経済政策とか政治そのものに関心の幅はひろがらざるをえない。今までの政治であれば、いい住居はできない。関心がどんどんひろがらざるをえないわけです。

2.『住宅貧乏物語』の誕生まで

 そうこうしているうちに就職してから、美濃部都政ができ、美濃部さんから私たちの研究グループに「住宅白書」をつくってくれと言われました。経済、法律、社会政策などの学者が集まって白書をつくるのです。当時、建設白書というのがありました。そこには、日本には住宅戸数がいくらあるか、世帯数はいくらあるか、家は足りているか、一戸あたりの床面積はどうだ、敷地面積はどうかということなどの統計が載せられていました。それはそれで必要ですが、私はそうではなく、住宅は生活の器だから、今の住宅や住宅政策が国民にどういう影響を与えているか、東京都民がどういう住居に住んでいるのか、その結果どういう影響がでているのか、その実態を明らかにするのでなければ白書にならないという考えにいたるわけです。
 では、それをどういうふうにしてを調べるか。住宅政策は、今は国土交通省(当時は建設省)が担当していますが、昭和20年までは厚生省が担当していました。イギリスもそうですが、世界中の住宅政策はみんな厚生省関係です。当時は日本もそうでした。厚生省の管轄ですから、当然、健康と住居とか、福祉と住居ということが関心になってくる
 そこで、大勢のお医者さんが、健康が住居によってどんな影響をうけるかということの調査をしました。非常に大規模な調査もしました。たとえば、一戸当たりの畳数と日照、通風、騒音、振動などの住環境を総合し、上中下のランクにわけ、神経痛、高血圧とか、病気との関係をみるという調査をしました。そうしたら上と下の間は10倍くらい数値が違うんですね。過密住居だと不衛生になりますし、環境が健康に影響をあたえるのですね。
 労働科学研究所の医師からは、家に帰ってゆっくり休めないと疲れが残る、それが職場で労働災害にもつながっていくことが紹介されました。そういうことが次々とでてきました。

 〔連続座談会で教わる〕
 
 私自身も、いろんな図書館にはいりこんで過去の文献を調べてまわりました。しかし、それだけでは何か足りないという思いがあって、さまざまな専門家と座談会を企画したところ、雑誌社が毎月1回、2〜3人の専門家と私との座談会を設定してくれました。テーマは、子ども、老人、精神衛生、家族、災害などで、非常に勉強になりました。
 ひとつだけ紹介しますと、当時、国立精神衛生研究所所長だった加藤正明さんが、コミュニティが非常に大事であるということを、強調されておりました。加藤さんは「私たちの調査によると住居の状態とストレスは極めて密接な関係があります。特に高齢者が転居するときは引っ越し鬱病をおこしやすい。さらに自分が引っ越ししなくても回りの環境が、再開発されたとか、災害がおこった、家がかわった、風景がかわる、そうすると自分が引っ越ししたと同じような効果がおこる」とおっし ゃっておられました。だから再開発してはならないわけですよ。風景を安定させる街並み保全というのは、単に景観保全だけでなく、精神的な安定につながるのですね。だから現在は、ヨーロッパでは再開発事業は辞書から消えたというくらい、再開発はやらないです。街並み保全ですね。
 その後、調べを進めていくとロバートバトラーさんというアメリカのお医者さんが、このようなことを書いているのです。「老人を住み慣れた環境から追い立てることは身体の危険をともなう。特に突然の引っ越しは老人の場合に病気と死亡の起爆剤になりかねない。まったく新しい環境になれるのはストレスをともない、それが疲労や気持のおちこむ原因になる。」と
 また、これは家先生のご専門になるのですが、国連人権委員会では、1993年に強制立ち退きに関する決議をしており、日本もこれを批准しています。そこでは「強制立ち退きは、人や集団を無理矢理に家庭やコミュニティから連れ去ることによって、精神的な、身体的な障害をもたらす。強制立ち退きをふせぐ究極の法的責任は政府にある」と、強制立ち退きについて宣言しています。そういうことをずっと追求していきました。
  他にも神経科、肛門科、リハビリテーション、整形外科、内科…こうした医師の先生方との対談もやっていきました。これも非常におもしろかったんです。
 みなさん本屋に行かれると、血液をサラサラにする食べ物とか、脳によいなんとかとか、本がたくさんあるでしょう。それなら住居の状態が、精神科とか内科とか耳鼻科とか外科、産婦人科とか、当然影響をあたえるはずです。医師の調査でも狭い家、過密居住では流産が多いとでていますストレスからくるのですね。 
 これに関連する話をひとつ紹介すると、最近、胃ガンのかわりに大腸ガンが非常にふえているそうですが、あれは便秘が関係あるんですね。最近の住宅はみんな一穴便所でしょ。そうすると、家族に便秘の人が一人いるとたいへんです。早くしろといわれてドアをたたかれてきばるでしょ。お医者さんが「肛門破壊がおこっている」といわれる。なんのことかと思ったら、肛門がこわれているんですって。現在のような便所ひとつでは、家族全員がトイレにいきますから、トイレを我慢しなければならない。それで便秘がふえて大腸ガンの原因になっていると。そういうことなどを次々と調べていきました。
 それらをまとめて、『住宅白書』をつくり、それを読んだ岩波書店の人が新書にしてくれと言われ、それで『住宅貧乏物語』というのができた、そういう経過があります。

    住宅貧乏物語      

 

 その後、今の討論されてるご意見のとおりです。住居の状態は人権を損なっている。住居が日のあたらない、ジメジメしたところ、そういうところに住んでいると病気になるし、子どもの成長も阻害する、お年寄りは在宅介護が大事と言われても、そんなことできないですよね。
 住居とは基本的人権だと、実証的、現実的に、だんだん考えが固まっていくわけです。住居というのは単に建物だけでない、住み続ける場という居住の権利なのだということを言い続けることになったわけです

(太字は「支える会」事務局によるものです。)

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